肉離れの治し方|応急処置・全治までの期間・再発しない復帰のコツを柔道整復師が解説

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肉離れの治し方・応急処置・セルフケア・再発しない復帰を柔道整復師が解説する記事のアイキャッチ 姿勢・痛み

「肉離れ、いったいいつになったら走れるんだろう…」
「治ったと思って走り始めたけど、痛めたことろに違和感がある」

——ランニングを楽しんでいる方にとって、ケガで走れない時間ほどつらいものはありませんよね。早く治したい、でも焦って再発はしたくない。スポーツをしてきた、している人なら絶対その気持は共感できるはず。そして、一生懸命な方ほど、長引かせやすい。その気持ち、すごく分かります。

柔道整復師として15年、ランナーの肉離れもたくさん診てきました。中には、間違ったケアで症状を長引かせてしまっている方も多くいらっしゃいます。

早く治そうとして、痛めた部位を一生懸命ストレッチしてしまっていませんか?

この記事では、応急処置から全治の目安、そして自分でできるセルフケア、再発させずに走りへ戻るコツまで、現場の視点でお伝えします。

※「これは肉離れ?筋肉痛?」と症状を見分けたい方は、まず肉離れと筋肉痛の見分け方をご覧くださいね。

肉離れの応急処置|受傷直後は「RICE」

痛めた直後の対処で、その後の治りが変わります。受傷直後の基本は「RICE処置」。Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の頭文字です。

  • Rest(安静)……すぐに運動を中止。痛みをこらえて走り続けるのは厳禁です。
  • Ice(冷却)……患部を冷やして炎症と内出血を抑えます。
  • Compression(圧迫)……着圧サポーターや包帯で適度に圧迫します(後述)。
  • Elevation(挙上)……患部を心臓より高く上げて腫れを抑えます。
肉離れのアイシングは「冷やす(最大30分)」と「冷やした倍の時間あける」をくり返すのが正解で、バケツに足を入れたままの冷やしっぱなしは間違いだと示した図解

アイシングにはコツがあります。

患部の力が抜ける楽な姿勢(弛緩肢位)で、時間は最大30分まで。次に冷やすまでの間隔は、冷やした時間の倍をあけます。氷はタオル越しに当て、感覚がなくなったら一度外しましょう。受傷直後(炎症がある急性期)は”冷やす”のが基本。温めるのはNGです。

氷嚢は固定できるバンド付きがおすすめ。

氷がない場合でもアイシングできるアイスパックも便利ですよ。

肉離れが全治するまでの期間|重症度別の目安

いちばん気になる「いつ走れるか」。重症度で大きく変わります。あくまで目安ですが、整理しておきますね。

重症度状態全治までの目安
Ⅰ度(軽度)筋繊維の微細損傷。歩ける程度約1〜2週間
Ⅱ度(中等度)部分断裂。歩行・階段がつらい約4週間〜2か月
Ⅲ度(重度)完全断裂。強い痛み・くぼみ・歩行困難約3〜6か月(手術を要する場合も)

※個人差があり、年齢・部位・ケアの仕方で変わります。痛みが引いても組織は回復途中のことが多いです。

自分でできる肉離れのセルフケア|大切な3つ

治療院での治療も大切ですが、多くの方が知りたいのは「自分でできること」ですよね。回復を後押しするセルフケアで、私がとくに大切だと考える3つをお伝えします。※受傷直後はまずRICEで安静・冷却を。下記は炎症が落ち着いてきた回復期のケアです。

① 交代浴(温冷交代)で血流を促す

炎症が落ち着いた回復期に、血流を促して回復を後押しするのが交代浴です。やり方はこちら。

  • 湯船に5分浸かる → シャワーの水を2分かける、を3〜5回くり返す
  • 最初と最後は”温め”で終えるのがポイント
  • 時間がないときは、3分温め・1分冷やすでもOK
肉離れ回復期の交代浴のやり方(湯船5分と冷水2分を3〜5回くり返す・最初と最後は温め・受傷直後はNG)を示した図解

◎注意:受傷直後(炎症がある急性期)は交代浴はNGです。急性期は温めず、冷やすだけにしてくださいね。

② 着圧サポーターで圧迫・保護する

肉離れは文字どおり「筋肉」が「離れ」ている状態。前編の”ソーセージの身と膜”を思い出してください。離れたもの同士を寄せるイメージで、適度な圧迫が役立ちます。とくに受傷後や、走りへ立ち上げていく段階では、着圧が簡単で効果的。目安は強すぎずストレスがない程度で、しびれやむくみが出るのは圧が強すぎのサインです。

③ 拮抗筋のストレッチ

痛めた筋肉そのものは伸ばさないでください(”身と膜”をさらに引き離して悪化します)

代わりに、痛めた筋肉の反対側にある「拮抗筋」をやさしくストレッチすると、回復の助けになります。たとえばハムストリングス(太もも裏)の肉離れなら拮抗筋は大腿四頭筋(前)、ふくらはぎ(腓腹筋)なら前脛骨筋(すねの前)です。

◎重要:患部そのもののストレッチや筋力トレーニングは、再開の時期を専門医・専門家の判断で行ってください。自己判断での患部ストレッチは再発のもとです。

医療機関での治療|より本格的に治したいとき

セルフケアと並行して、必要に応じて専門的な治療も選択肢になります(診断を受けたうえで)。

  • 電気療法……マイクロカレント(微弱電流・刺激感ほぼなく受傷直後から使え、回復を後押し)やTENS(痛みの緩和)。
  • 鍼治療……痛みの緩和や早期回復、しこりを和らげる(皮下出血がひどい場合は時期を検討)。
  • PRP療法(再生医療)……自分の血小板の治癒力で組織修復を促す。適用・費用は医療機関で異なる。
  • 包帯・テーピング……固定・サポートでアライメントを整える。包帯は伸縮性、テーピングはキネシオがおすすめ。

肉離れでやってはいけないこと|一番多い間違いは「患部のストレッチ」

現場でいちばん多い間違いが、これです。

「痛いから」と、患部を一生懸命ストレッチして伸ばしてしまうこと。これは絶対にやめてください

肉離れは”身と膜が離れた”状態。そこを伸ばすと、さらに引き離して悪化させ、回復が大きく遅れます。良かれと思ったケアが、いちばんの逆効果になるパターンなんです。痛む患部は「伸ばさない・揉まない」が鉄則。ストレッチするなら、反対側の拮抗筋だけにしてくださいね。

  • 患部を無理にストレッチで伸ばす……最もやりがちで、最も悪化させます。絶対NG。
  • 痛めた直後に揉む・マッサージする……内出血や炎症を広げます。
  • 受傷直後から温める・交代浴・お酒……血流が増え、腫れ・内出血が悪化します(温冷ケアは回復期から)。
  • 痛みが引いたからと走りを再開する……再発のいちばんの原因です。

再発させずに走りへ戻るコツ|回復を「見える化」する

走るのが好きな人ほど「もう走れる気がする」と早く復帰しがちですが、これが再発の最大の原因です。痛みが引いても組織は回復途中のことが多いんです。安全に走りへ戻るために、日頃からできることをまとめました。

  • 十分な回復期間を確保する……不完全な回復での早期復帰は再発リスク大。
  • 段階的に戻す……筋力と柔軟性を徐々に回復させる。
  • 柔軟性を保つ……患部周辺が硬いままだと再発しやすい。日々のストレッチ・筋膜リリースを。

筋膜をほぐすセルフケアには、振動で深部まで届く電動フォームローラーがおすすめです。一般的なストレッチポールより、こり固まった部分をピンポイントでほぐしやすいんです(痛みの強い急性期は使わないでくださいね)。

ガーミンで「体の回復」を見える化して、焦り復帰を防ぐ

「いつ走り直していいか分からない」——ランナーの悩みどころですよね。体の回復を数値で”見える化”しておくと、焦った復帰を防ぎやすくなります。ガーミンのHRVステータストレーニングステータス、リカバリータイムは、全身のコンディションの回復度の目安を示してくれます。

ガーミンのHRVステータスの表示画面。自律神経の状態を見える化できて、肉離れからの復帰の目安の1つとして役立つ。

◎注意:これらは全身の回復の目安で、これだけで「肉離れが治った」と判断するものではありません(患部の治癒判断は医療機関で)。それでも「今日は数値が低いから無理せず休もう」という焦り復帰を防ぐ参考になり、長くランニングを楽しむ味方になります。

回復を助ける栄養|筋肉の材料を補う

傷ついた筋肉の修復には、材料となる栄養が欠かせません。

プロ選手も栄養を大切にしています。

サッカーの長友佑都選手は、ハムストリングスの肉離れからの回復にあたり、青魚やマグロ、アマニ油などオメガ3を多く含む食事を積極的に取り入れたと報じられています(出典:テレ東プラス)。

オメガ3は炎症を抑えて回復をサポートするといわれ、プロの現場でも重視されている栄養素なんですね。

とくにタンパク質は筋肉の主成分。手軽に補うならコスパ最強プロテインランキング、疲労回復のサポートにはアミノ酸・クエン酸の活用法も参考にどうぞ。

あわせておすすめなのが青魚。サバ・イワシ・サンマなどに多いEPA・DHAは、炎症を抑えて回復をサポートするといわれます。普段の食事に青魚を取り入れるのも、回復を助けるひと工夫ですよ。栄養はあくまで回復の土台づくりで、これを摂れば早く治る魔法ではありません。応急処置・安静・段階的なケアと組み合わせることが大切です。

こんな時は病院(整形外科)へ

  • 歩けないほどの強い痛みがある
  • 患部にはっきりした「くぼみ」や大きな内出血・腫れがある
  • しびれを伴う、または数日たっても痛みがまったく引かない
  • 過去に同じ部位を繰り返し痛めている

「何科?」と迷ったら、まずは整形外科が基本です。重症度の正確な診断は画像検査ができる医療機関でないと分かりません。

よくある質問

Q. 肉離れは何日くらいで走れるようになりますか?

軽度で約1〜2週間、中等度で約4週間〜2か月、重度では3〜6か月かかることもあります。あくまで目安で、痛みが引いても組織は回復途中のことが多いため、自己判断での早期復帰は再発のもとです。段階的に戻しましょう。

Q. 交代浴はいつから始めていい?

受傷直後の急性期(炎症・腫れがある時期)は避け、炎症が落ち着いてきた回復期から始めます。受傷直後は温めず冷やすのが基本です。判断に迷うときは専門家に相談してください。

Q. 湿布は冷感と温感どちらを使えばいい?

受傷直後の急性期は冷感、痛みと腫れが落ち着いた回復期は温感が基本です。くわしくは冷感・温感湿布の使い分けをご覧ください。

まとめ|「応急処置」と「焦らない復帰」が再発を防ぐ

  • 受傷直後はRICE。冷却は弛緩肢位でMax30分、温めはNG
  • 全治の目安は軽度1〜2週/中等度4週〜2か月/重度3〜6か月
  • 回復期のセルフケアは「交代浴・着圧サポーター・拮抗筋ストレッチ」の3つ。筋膜ほぐしは電動フォームローラー、食事は青魚も
  • 痛む患部のストレッチは絶対NG(一番多い間違い)。再開は専門医の判断で
  • 再発予防は段階的な復帰。回復の見える化にガーミンも
  • 歩けない・くぼみ・しびれは整形外科へ

そもそも「これは肉離れ?筋肉痛?」と迷う方は、肉離れと筋肉痛の見分け方もあわせてどうぞ。正しく対処して、また気持ちよく走れる毎日に戻していきましょうね。

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