「最近、サッカーの練習後に膝下がズキズキする…」
「バスケ中にジャンプすると膝のお皿の下が痛くて、部活を休もうか迷っている」
「アイシングしても治らず、階段を下りるだけで痛い」
「成長痛だと思って放っておいたら骨が出っ張ってきた」
成長期の子どもに多いこれらの症状は、**オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)**のサインかもしれません。
この記事では、柔道整復師の視点から原因・症状・治し方・競技復帰までの流れを徹底解説。
自宅でできるストレッチやおすすめサポーターも紹介し、
早期回復と再発予防のための実践ポイントをまとめます。
専門医の見解を交えながらもやさしく解説します。痛くてスポーツが思い切りできていない、治療法や予防法がわからない方は、ぜひ最後までお読みください。
オスグッド病とは?
- 正式名称:オスグッド・シュラッター病
- 好発年齢:10〜15歳の成長期
- 原因:成長に伴う膝の骨端核(脛骨粗面)が引っ張られ炎症を起こす
成長期のスポーツ少年少女に多く、サッカー・バスケ・陸上などジャンプや走る動作が多い競技で発症しやすいのが特徴です。
日本スポーツ整形外科学会(JSOA) 「スポーツ損傷シリーズ 1.オスグッド病」
引用:日本整形外科学会公式サイト
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osgood_schlatter.html
主な症状
- 膝下の骨(脛骨粗面)の腫れや痛み
- 階段の昇降、ジャンプ、走行時に痛む
- 進行すると骨が隆起し、押すと痛みが強い
- 患部を押さえた際激しい痛みであることが多い
- 「運動時などは痛くないが、押さえると痛い」というのは初期症状であることが多いので、そのタイミングで医療機関の受診をおすすめします。
- 重症化すると、日常生活の歩行時や階段の上り下りだけでも痛くなることがあります。
原因と発症メカニズム
- 成長期は骨が急激に伸びる一方で、筋肉や腱の柔軟性が追いつかない
- 大腿四頭筋(太ももの前側)の硬さが膝下を引っ張る
- 反復するジャンプやダッシュ動作で炎症が進行
- 剥げれた軟骨は自然と戻らないことが多く、大人になってもそのまま。
- 今の痛みだけでなく、その先の膝の変形による見た目への影響も考慮することが大切。
日本スポーツ整形外科学会(JSOA) 「スポーツ損傷シリーズ 1.オスグッド病」
オスグッド病の骨端軟骨の剥離↓引用:日本整形外科学会公式サイト
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osgood_schlatter.html
最近注目される新しい原因:ハムストリングス・臀筋の機能不全
従来は「大腿四頭筋(太ももの前側)の硬さによる膝下への牽引」が主原因とされてきました。
しかし近年の研究では、ハムストリングス(太もも裏)や臀筋(お尻)の機能不全があると、骨盤の安定性が低下し膝へのストレスが増えることが指摘されています。
そのため、オスグッド病の予防・改善には前ももだけでなく臀部・裏ももをしっかり働かせるトレーニングやストレッチも重要と考えられています。
※参考:最新のスポーツ医学研究(日本整形外科学会学会誌 2023 など)
オスグッド病は成長が完了する頃には痛みが軽減することが多いですが、無理をすると成長後も痛みが残ることがあります。
- ハムストリングスが固いとオスグッド病になるリスクは高くなる
- ハムストリングスの柔軟性が高いことはオスグッド病を予防につながる
小学生サッカー選手におけるOsgood-Schlatter病発症の身体的要因に関する研究より引用
塩田真史、加賀善教、玉置龍也、持田尚、鈴川仁人、関屋曻、赤池敦、清水邦明、青木治人
一部要約
◎本研究ではオスグッド発症者のハムストリングスの柔軟性が、非発症者と比べ有意に低くなっていることが示された。
ハムストリングスの柔軟性低下は骨盤後傾を生じ、動作中の骨盤前傾とそれに伴う重心の前方移動を妨げ、後方重心を引き起こす可能性がある。先行研究では、小学生は骨盤後傾位にあること、オスグッド患者では動作中に後方重心となり、大腿四頭筋の過活動となることが示されている。
小学性男児のSLRは一般児童で45°程度、定期的にサッカーをしている児童では70~75°と報告されており、本研究のオスグッド発症者の柔軟性は一般児童に近かった。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/65/1/65_205/_pdf/-char/ja
ハムストリングスとサッカーのキックの関係性
サッカーでロングキックをする際、腰が丸くなったフォームの人はハムストリングスの柔軟性が低下している可能性が高い。
そういう人はロングキックの距離が伸びづらい。キックが上手は人は、キック時に腰が起きたフォームになっているはずです。
自分のお子さんのフォームはいかがですか?
ハムストリングスの柔軟性のチェック方法
オスグッド病との関連性が強いハムストリングスの柔軟性のチェック方法をご紹介
・仰向けで寝て、ペアに片方の脚を上げてもらう。

- 80°以上脚が上がれば合格。
- 80°未満〜45°以上は要注意。
- 45°以下はオスグッド病へのリスクが非常に高い。
専門知慮と競技復帰の基準
- 整形外科や整骨院での診断が基本
- 炎症期は痛みのない範囲で軽度運動は可
- 復帰の基準:以下2点
①うつぶせでかかとをお尻につけても(大腿四頭筋のストレッチ)痛みがない
②片脚スクワットで痛くない膝と同じくらい曲げても痛くない
※一番下まで曲げなくてOK。90°までいけると文句なしOK。左右差がないことが大切。

柔道整復師が推奨する早期にできるセルフケア
ジャックナイフストレッチ|もも裏・ふくらはぎ
- 足首を逆手でつかんでしゃがむ(このとき少しかかとが浮いてもOK)
- 太ももと胸をつけたまま膝を伸ばしていく(このときはかかとはかならずじめんにつける)
※太ももと胸をくっつけたまま、というのがポイント - 太ももの裏とふくらはぎが伸びたら10秒キープ
1〜3を6セット
※このストレッチは腰椎分離症の予防としても効果があるといわれています。
※しゃがむ姿勢で患部が痛む場合は、椅子や低い台に足を乗せて前かがみになり、ハムストリングスを伸ばすと痛みが出づらい
90°-90°ストレッチ|臀部(おしり・股関節)
- 伸ばす脚を前、反対側の脚は横にして、両脚とも膝を90°曲げる
- 両肘を前方の床につき、前に出した側のおしりが伸びればOK
※効果的に伸ばすポイントは、腰を前に出した脚の方向にひねる。


ヒップリフト|もも裏・大殿筋エクササイズ
ヒップリフトは太ももの裏側にあるハムストリングスと大殿筋を鍛える効果があります。
ハムストリングスを強化することで、膝にかかる負担を軽減することができ、オスグッド病の症状改善に直接的に寄与します。
また、大殿筋を強化することで、骨盤の安定性が向上し、結果として膝への負担が軽減されます。これはオスグッド病の予防と改善に間接的に貢献します。
さらに、ヒップリフトには以下のような効果もあります:
- 腰痛予防効果:骨盤の前傾を緩和し、腰への負担を軽減。
- 姿勢改善:体幹と臀部の筋肉が整うことで、全体的な姿勢が改善。
- スポーツパフォーマンスの向上:瞬発力や持久力が必要なスポーツでのパフォーマンスを向上。

①「おしりを上げる」のではなく、「かかとで地面を押す力でおしりを上げる」という意識で
②太ももの前や腰に効いている感じがしている場合は上手くできていないのでフォームを再確認
③おしりが上がった際、腰がそらないように。腰は少し丸くする(骨盤を後傾させる)イメージですると腹圧も入り効果的
サポーター・テーピングで痛みを軽減
オスグッドは膝下の引っ張りストレスを減らすことがポイント。
サポーターやテーピングは運動時の痛みを軽減し、回復を早めます。
おすすめサポーター3選
| 商品名 | 特徴 | 価格目安 |
|---|---|---|
| 【1位】ザムスト JK-1 | オスグッド特化・装着簡単 | 約4,000円 |
| 【2位】バンデージ式サポーター | サイズ調整自由・薄手 | 約1,500円 |
| 【3位】マクダビッド ニーサポーター | ジャンプ系スポーツ向け | 約2,800円 |
おすすめのスポーツテーピングはコチラ👇️
よくある質問(FAQ)
Q1. オスグッドは放っておいても治る?
→ 成長が落ち着けば自然治癒するケースもありますが、膝の変形や慢性化を防ぐために早めのケアが大切。
Q2. 大人でも発症する?
→ 稀ですが、成長期に適切な治療を受けず痛みが残る「大人オスグッド」もあります。
Q3. 競技を完全にやめないとダメ?
→ 軽度なら練習量を減らしつつ継続可能。痛みが強い場合は医師の指示に従いましょう。
まとめ
- オスグッド病は成長期特有の膝下の炎症
- 早期ケアとストレッチが回復のカギ。オスグッドは予防できる。
- サポーターやテーピングで痛みを軽減しながら競技復帰を目指せる
- 「成長痛だから痛くてもしょうがない」というのは間違い。放置すると悪化して日常生活に支障が出るほど重症化することもある。
- オスグッド病になる原因は様々だが、ハムストリングスの柔軟性低下の影響は大きい。
- 膝がしっかり曲がる・片脚で痛みなくスクワットできないと競技復帰は厳しいことが多い。
- 私の経験上、オスグッドになった方はほぼ全員がハムストリングス(もも裏の筋肉)とお尻の筋肉が硬いことを実感している。
ストレッチの習慣化が最も重要。あとは足首のねじれや骨盤の傾きなど自分では分かりづらい原因もあるので、症状の変化乏しい場合は早めの相談がおすすめ。 - 膝の違和感を感じたら、まずは休養と冷却、そして信頼できる整形外科や柔道整復師へ相談しましょう。




コメント