成長期の子どもによくある「膝の痛み」。
その代表的な疾患のひとつが「オスグッド・シュラッター病」です。
特にスポーツを頑張る中高生によくみられ、「走ると膝が痛い」「ジャンプの着地でズキッとする」と訴えるケースが多いです。重症化するとスポーツの継続が困難となり、手術の適応となる場合もあります。
”成長痛”ですが、”成長期だから痛いのはしょうがないは間違い”なのです。
ここでは、柔道整復師としての現場経験を踏まえ、オスグッド病の原因・症状・進行のサインをわかりやすく解説します。
オスグッド病とは?(簡単なおさらい)
オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)は、成長期に多い「膝の痛み」を伴うスポーツ障害です。
特に サッカー・バスケットボール・陸上 などジャンプやダッシュ動作が多い競技で発症しやすくなります。
医学的には「脛骨粗面(けいこつそめん)」という部位が炎症を起こすことが特徴です。
発症のピークは 男子:12〜15歳/女子:10〜13歳 前後が多く見られます。
👉 日本整形外科学会でも、成長期のスポーツ障害として代表的な疾患とされています。
🧠 原因①:成長期特有の骨と腱のアンバランス
成長期は、骨の成長スピードに対して筋肉や腱の柔軟性が追いつかないことがあります。
その結果、**太ももの前側(大腿四頭筋)**が硬くなり、膝の下の脛骨粗面に強い牽引力が加わります。
- 急激な身長の伸び
- 繰り返されるジャンプやダッシュ
- ウォームアップ・クールダウン不足
こういった要因が重なり、炎症や痛みを引き起こします。
👉 ここが重要
オスグッドは「外傷」ではなく「繰り返しの負荷(オーバーユース)」が主な原因です。
🏃 原因②:競技特性とトレーニング環境
競技によって膝への負担のかかり方は異なります。
- サッカー:キックやダッシュ、方向転換 ※利き足でなく、軸足に発症することも珍しくない
- バスケ:ジャンプ着地と切り返し
- 陸上(短距離・跳躍):強い地面反力
さらに、練習量の多さや休養不足もオスグッド発症の大きなリスクです。
最近ではクラブ活動と部活動の「ダブル所属」で負荷が高くなるケースも少なくありません。
💢 症状①:膝下(脛骨粗面)の痛み・腫れ
- 膝下の骨が「ボコッ」と出てくる:大人になっても基本出っ張りは戻らない。悪化させないことが大切
- 走ったりジャンプしたときの痛み
- 膝を曲げると痛い
- 押すと痛みが強い:※激痛であることが多い
- 両膝よりも片側が多いが、両方のケースもある
痛みを我慢し続けてはだめな理由👇️
・片側の痛みを我慢しながら運動を継続していると、かばうせいで反対側もオスグッドになってしまう可能性がある。
・両膝が同時にオスグッドになることはまれ。
⚠ 進行のサイン:運動パフォーマンスの低下・日常生活での痛み
- 運動後だけ痛む → 安静時や日常生活でも痛むように
- 押したときの痛みが強くなる
- 腫れや熱感が出てくる
- 痛みで走る・ジャンプできなくなる
重症化サイン👇️
- 「踏ん張ると痛い」から「痛くて踏ん張れない」に変わってきた
- 運動の序盤や運動後だけ痛かったのが「体が温まった運動中も」痛くなってきた
- 「痛いけど膝は曲がる」から「痛くて膝が曲がらない」に変わってきた
柔軟性が落ちるとフォームも崩れ、股関節や腰など別の部位に負担がかかるリスクも。
この段階でしっかりセルフケアや練習量の調整を行うことが、再発や長期化の予防につながります。
放置するリスク
- 骨が出っ張ったままになる:大人になっても基本は戻らない
- 慢性的な痛み・違和感が残る
- スポーツ復帰が遅れる:少し休んで痛みが引いても繰り返しやすい
- 間違ったケアで長期化するケースも
間違いやすいセルフケア👇️
- 曲げると膝が痛いのに「太ももの前のストレッチ」を痛みをこらえながら行うこと。
→オスグッドを悪化・長期化させてしまう要因となりやすい
🧪 受診・診断の目安
- 膝下の痛みが2週間以上続く
- 片足をかばうような歩き方になっている
- 膝が腫れて熱をもっている
このような場合は、整形外科や柔道整復師のいる接骨院の受診をおすすめします。
必要に応じて X線やエコー検査、触診で診断されるケースが一般的です。
柔道整復師からのアドバイス
「少し痛いけど我慢して練習」は一番悪化しやすいパターンです。
早めに負荷を減らし、ストレッチやケアを行えば、長引かずに回復するケースが多いです。
🛠 治療・対処の基本
オスグッド病の基本的な対処法は以下の通りです👇
- 練習量・負荷の調整
- ストレッチ・セルフケアによる柔軟性改善
- サポーターの活用
- アイシング・炎症管理
👉 痛みを「我慢して続ける」と長期化・再発のリスクが高まるため、早期対処が大切です。
セルフケアをする際には、フォームローラーやストレッチ補助具があると効果的です👇
👉 特に太もも前面・裏面のリリースは効果的。使い方はセルフケア編の記事で詳しく紹介しています。
📝 まとめ
- オスグッド病は成長期特有の「骨と腱のアンバランス」が主な原因
- 症状は膝下の痛み・腫れ・柔軟性低下が中心
- 早めの対処と負荷管理で長期化を防ぐことができる
- 原因を理解することで、再発予防にもつながる
👉 次は「ストレッチ・セルフケアの方法」をチェックして、痛みの軽減・再発予防につなげましょう!


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